スクリーン印刷機の雨だれ防止機能 

スクリーン印刷機の雨だれ防止機能

日々改良され、より高性能、高機能と進化を遂げるスクリーン印刷機。 このページでは、㈲スリーサプライ川口で稼働するスクリーン印刷機の雨だれ防止機能について説明します。

スキージが印刷終了後に逆方向に移動することで、刷版にこすり付けてインキを切るスクリーン印刷機、ミノマット。

コート時にスキージの角度が変わりスクレッパーに倒れることで、スキージからのインキだれをインキ溜まりに落とすSERIA。

スクリーン印刷業界で「雨だれ」と言われている印刷の不具合があります。 刷版にインキをコートする時にスキージからぼたぼたとインキが垂れてしまったり、スキージから垂れ落ちるインキが刷版上を引きずってしまうことによって発生する印刷ムラです。 暗いベース色の上に表マット印刷を施した場合やメタリック色やパール色に顕著に現れます。 また薄いスモーク印刷でも目立ちます。

この雨だれ状の印刷ムラやスジが目立ってしまうと製品としてはNG判定され使えなくなります。 発生原因がインキコート時にスキージから落ちるインキ、またはインキを引きずることなのですから、印刷終了と同時にスキージに着いたインキを取り払ってしまえば雨だれは発生しません。 印刷機に雨だれ防止機能が付いていなかった時代には、スキージを後ろ止めにして、1回の印刷が終わるたびに刷版を持ち上げてスキージに接触されたりしていました。 とにかく印刷オペレーター泣かせの不具合でした。

しかし昨今では雨だれ防止機能が印刷機に搭載されており、発生頻度はかなり下がってきました。

雨だれが発生するメカニズム

スクリーン印刷で使用する一般的なインキは、その大部分が高分子化合物(ポリマー)に分類されます。
そのポリマーに溶解しない顔料や添加剤が浮いているコロイド状態の流体と言えます。

この高分子化合物なのですが、その粘度変化には特徴があります。
それは、動的エネルギーが加えられている場所は粘度が下がり、静止している場所は粘度が上がるというものです。 言い換えれば、スキージの両脇からはみ出す版上のインキの土手やスキージに付着したインキは固くなり、 スキージとドクターの間のインク溜まりはコート→スキージによる回収と常に移動しているので粘度が下がります。

つまり、刷版上にコートされたインキ層は粘度が低い状態であるのに対し、 そこにスキージから垂れ落ちるインキは粘度が高い状態です。 インキを刷版上に投入してからの時間が長くなるほどその差は顕著になります。
このように印刷パターンの中に粘度の差ができてしまうことが、雨だれと呼ばれる不具合の根本的な原因なのです。

印刷現場での雨だれ防止対策

いくつかの雨だれ防止対策を紹介します。
①スキージが逆走してインキを切る仕様(上動画)
②スキージが倒れてスクレッパーに近い位置に移動した状態でコートする仕様(上動画)
③インキコート時にスクレッパーがスキージの直下に滑り込んだ状態でコートする仕様

と、この3種類のいずれかが雨だれ防止装置としてスクリーン印刷機に装備されています。

しかし、実はどの機構も一長一短があり、全ての雨だれに対して100%有効なわけではありません。 ①+③仕様のスクリーン印刷機があると良いのですが、特許の関係なのか、そのような印刷機を知りません。

現場の印刷オペレーターは、雨だれ防止機能を使い、さらに後ろ止めで印刷したり、経験則からのインキの粘度調整で雨だれの出にくい状態で印刷を行います。
また、粘度の差が出づらいUV硬化型のインキに変えてしまうことで雨だれ防止効果がある場合もあります。
さらには、インキコートせずに両方向から印刷してしまえば、雨だれはほぼ発生しなくなります。

いずれにしても、完全に雨だれを防止する策は現在のところありません。 さらに言えば、印刷時にスクレッパーからインキが垂れて引きずる事が原因で雨だれやスジが発生する場合もあります。

隠蔽(いんぺい)の強いカラー色であれば全く問題にならない雨だれですが、そればかりを印刷しているスクリーン印刷業者は少ないと思います。 スリーサプライではここで紹介した以外にもいくつかのノウハウを持っているのですが、公開できないのが残念です。
雨だれでお困りの事があれば、是非一度「お問い合せ」よりご相談下さい。

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